再生可能エネルギー全量買取法案審議へ-【追記あり】
カンチョクトの三本花道の一本である再生可能エネルギー全量買取法案。
2011/07/13 電気新聞
菅直人首相が退陣3条件の一つにしている再生可能エネルギーの全量買取法案があす14日、衆院本会議で審議入りする。参院審議のカギを握る自民、公明両党も再生エネ拡大という法案の趣旨には反対しておらず、会期中の成立に向け大きな争点は見当たらない状況。ただ自民党の一部には「法案をそのまま通し、菅首相の花道とするわけにはいかない」と早期成立に反発する意見もあり、審議の行方には不透明な要素も残る。電力業界にとっては、全量買取法案とセットで審議される電気事業法改正法案の行方も焦点になりそうだ。
全量買取法案は14日の衆院本会議を経て、経済産業委員会で実質的な審議が行われる予定。15日からは震災復旧にかかわる政府の2次補正予算案の審議も始まるため、経産委での本格審議は今月最終週が有力視されている。
全量買取法案は実用段階にある再生エネ(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)で発電した電気を一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるとともに、電気事業者が需要家に対し、買取費用をサーチャージとして請求する権利を認めている。
セットで審議される電事法改正法案は全量買取制度のサーチャージなど外生的・固定的なコスト変動に起因する料金改定を、事前届け出で実施できるような制度見直しや、特定電気事業者向けの託送環境整備などを予定している。 (本紙1面より)
巷では孫正義社長との一席から急速に浮上した法案だとか。
NTTの独占だった通信業界へ殴りこんで一財産を築いた孫社長が今度は電力業界へ殴り込みを掛けるらしい。
民主党マニュフェストに基づいて経産省が取りまとめた法案で事前に電力会社とも調整を終えている為に法案主旨に反対する勢力はせいぜい原発擁護派くらい。
ただ法案設計が極めて甘く不明確な部分が多く見られる。
つまり法案自体を通す事は容易だが、その後の政省令レベルでの細かい詰めが肝心要だ、という事。
・太陽光発電以外の再生可能エネルギー発電の買取期間が15~20年、買取価格が15~20円/kWhと幅が広い。
・住宅用太陽光発電は今までの延長で買取期間10年、42円/kWhだそうな。
・事業用太陽光発電は買取期間15~20年で買取価格が不明。
孫社長との赤坂料亭食事会から急速にカンチョクトが推してきたという事実が少し気に掛かるが。
詰まる所、この会食で孫社長がビジネスモデルとして成立すると確信したんでしょうね。
ソフトバンクと地方自治体が13日、太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電施設の普及を目指す「自然エネルギー協議会」の設立総会を秋田市内で開いた。これまでに北海道や福島県、大阪府など36道府県が賛同を表明している。
ソフトバンクの孫正義社長は東京電力福島第1原発の事故発生後、原発など大規模発電施設が特定地域に集中している現状からの脱却を提唱。地域ごとに太陽光や風力、地熱といった、それぞれの条件に適した自然エネルギーを選択した上で、中・小規模発電所を全国に分散設置する構想を打ち出した。
今後、ソフトバンクと自治体は、まず全国10カ所程度の休耕田などに2万キロワット前後の太陽光発電所を建設、運営する。協議会は、農地利用の規制緩和など自然エネルギー普及に向けた政策提言を行う予定だ。(2011/07/13-12:27)時事通信
法案の設計の甘さは政省令で補完するとして、問題は山積のよう。
・新たな雇用創出とカンフル剤として太陽光パネルの生産が必要だが、現状ではその体制に無い。
・太陽光発電先進国のドイツでも半分以上の太陽光パネルは中国産。
・休耕田に事業用太陽光パネル設置を想定しているようだが農業政策との兼ね合いはどうなのか。
そもそも第一次産業の高齢化が深刻化しており、何ら手を打って無い現状では休耕田活用方法も先詰まりしてるのが実情。
休耕田が多い自治体が新たな産業として注目して協力体制を取り、孫社長と協調するのは当然の成り行きで、カンチョクトと言えども現職総理が後押ししてとなれば加速していく事でしょうな。
カンチョクト退陣(するのか?)の後はどうなるにせよ基本路線を既成事実化出来れば、おいそれとひっくり返される事もないでしょうね。
それにしても本当に中々辞めないねぇ・・・。
この法案成立したら1/3だけでも辞めてくれんかね。
9月前半の訪米、9月下旬の国連総会とアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、全部出る気満々なカンチョクトに唖然とするゎ。
【追記】
いよいよ衆院本会議で審議入り。
企業法務ナビ
記事投稿日:2011-07-14 16:46:23
再生可能エネルギーの利用拡大が急務であるとして、経済産業省が本国会に提出した再生エネ法案(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案)が、14日に衆議院本会議で審議入りした。
・再生エネ法案とは?
法案は、①電力会社に再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスを用いた発電)の全量買取りを義務付けるとともに、②電力会社の買取り費用捻出のため利用者へのサーチャージ賦課を認めている。
買取り価格や期間に関しては、経済産業大臣が定めることとされ、高めの買取り価格が設定される方向である。
(注) 家庭での太陽光発電に関しては、現行通り余剰分の買取り。
・法案への課題と期待
類似した法律は、現在ドイツなど世界各国で導入されている。
日本の再生エネ法案には、買取価格と期間が法律に明記されていない、買取り期間終了後の手当がない、電力会社の接続義務免除に関する曖昧な文言など、課題も多い。また、電気料金の値上げによる国内産業の空洞化加速や、電力使用の高い事業の採算悪化も懸念要因として挙げられる。
他方で、ドイツでは類似法律の整備により、風力発電や太陽光発電の発電量が増加していることも事実であり、再生可能エネルギー振興に有効な施策のひとつである。また、電力会社に新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することを義務づけたRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)が、活用しきれていない日本の現状では、再生可能エネルギー振興への有力な後押しとしての役割が期待できる。
・見通し
再生可能エネルギーの振興、菅内閣の退陣騒動、電力会社の経済界への影響力、ソフトバンク孫社長のメガソーラー構想、日本のエネルギー基本計画の見直しなど、環境・政治・経済の諸要因が複雑に絡み合う中で、今後のエネルギー事情を左右する1つの試金石となりうる法案として、動向が注目される。