安岡力也死去
イタリア生まれで祖父にシチリアンマフィアを持つ怪優、安岡力也兄貴が亡くなってしまいましたね。個人的には非常に残念。
合掌。
映画、テレビの悪役などで活躍した俳優、歌手の安岡力也（やすおか・りきや）さんが８日、午前６時１分、心不全のため東京都内の病院で死去した。６５歳だった。肝細胞がんを患い、１０年８月に長男・力斗さんの肝臓の一部を移植する生体肝移植を受けるなど、最近は闘病生活を続けていた。１９７０年代は映画「不良番長」シリーズなどでのヤクザ役で存在感を示し、８０年代にはフジテレビ系のバラエティー番組「オレたちひょうきん族」に「ホタテマン」のキャラクターで登場、人気となったが、病魔には勝てなかった。
この日、千葉県内の寺院で取材に応じた長男・力斗（りきと）さん（２６）によると、力也さんは昨年１２月に肝細胞がんの転移が見つかり、余命１年の告知を受けていた。しかし、本人には知らされず「オレはもう１回復活する」と、俳優を目指す力斗さんとの共演に意欲を燃やしていたそうだ。
容体が急変したのは６日午後だった。血圧が急低下し、駆けつけた息子に「俺、負けたよなぁ」と弱音を吐いた。「ゴッドファーザーですよ」と力斗さんが返したのが、親子最後の会話となった。力也さんが離婚後、２人きりで生活してきた力斗さんは最期をみとることはできなかったそうだが、親族が立ち会い、力也さんは安らかに息を引き取ったという。
肝臓を患ったり、難病のギラン・バレー症候群に侵され、約１０年間にも及ぶ闘病生活を送った。体重１００キロの巨漢だったが、７０キロにまでやせ細った。付き人の大山大介さん（３０）は「亡くなる５日前、『桜を見たい』と話していたんですが、かなわなかった。男としての生き方を教えてもらった」と唇をかんだ。
今年２月からはブログを始め、旅行に行き、力斗さんと初めて酒を酌み交わした写真などを掲載していた。最後の仕事は先月下旬に受けた女性誌のインタビュー。自叙伝出版のプランもあり、危篤状態に陥った６日が第１回目の打ち合わせ予定日だった。
力也さんは高校在学中の１９６３年、友人とグループサウンズ「シャープ・ホークス」を結成。空手３段、柔道２段の腕前で、格闘技好きが高じて６９年にはキックボクサーに転身した。その後、７０年に芸能界に復帰。兄貴分と慕う梅宮辰夫（７４）と知り合い、梅宮主演で人気を博した「不良番長」シリーズなどで活躍、ヤクザ役で存在感を発揮した。
私生活も豪快そのもの。「酒とオンナとケンカが大好き」が口ぐせだった。「父はイタリア人」と吹聴し、「男は生まれたその日から闘いが待っている。常に闘え」という言葉を好んだ。愛人は３０人ともうわさされ、武勇伝は数知れず。酒豪で１日にビール２０本、ウイスキーのボトル４本を空けた、ともいう。
転機となったのは８３年から出演した「オレたちひょうきん族」。ホタテの着ぐるみを着た「ホタテマン」役で「ホタテのロックンロール」をヒットさせるなど、コワモテの風貌とのギャップで子供たちの人気者となった。
戒名は「鑑薔院濤力仁道大居士」（かんしょういんとうりきじんどうだいこじ）。遺体は千葉県内の寺院に安置され、１０日の通夜、１１日の告別式は近親者のみの密葬で営まれる。喪主は力斗さんが務め、後日、しのぶ会を行う。
◆ギラン・バレー症候群 筋肉を動かす運動神経の障害のため、手足がしびれて力が入らなくなる病気。症状のひどい場合、寝たきりになる。顔面マヒが起これば声が出なくなり、呼吸筋がマヒすれば人工呼吸器が必要になったりする。症状は２～４週でピークになり、その後は改善する。発症率は人口１０万人あたり２人前後。発症しやすい年代、性別は特にない。自分を守るための免疫システムが異常になり、自分の神経細胞を攻撃するためと考えられている。
◆安岡 力也（やすおか・りきや）１９４６年７月１９日、東京都出身。６４年、映画「自動車泥棒」でデビューし、６６年から「シャープ・ホークス」のリードボーカルで活躍。映画「タンポポ」（８５年）、「ブラック・レイン」（８９年）など話題作に出演。「オレたちひょうきん族」でホタテの着ぐるみを着た「ホタテマン」として、幅広い層から人気を集めた。キックボクサーとして活躍していたこともある。身長１８７センチ。
